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個人年金保険は主婦にとって必要なの?40代の主婦目線で調べてみた
40代になれば、生活スタイルがある程度確立している場合が多いと思います。
子どもが何人いてこれから教育資金がどれくらい必要だとか、住宅の購入を予定しているなど、出費の計算の予想もできます。
そして、40代となれば自分たちの老後の事も考えなければなりません。
そこで、貯蓄性のある個人年金保険をお勧めする理由をまとめてみました。
公的年金だけでは不安な方には個人年金保険がおすすめ!
簡単にまとめると
- 個人年金保険は公的年金で足りない分を補うもの(公的年金の支給年齢は年々高くなっている)
- 税金の控除が受けられ、払ったお金より多くのお金が返ってくるので貯蓄よりもお得
- 通常の保険と違い通常保障(死亡時までの支払い分は返金される)はないが、加入年齢も柔軟(高齢でも入れる)で受取年齢も柔軟に設定可能
この記事では個人年金保険の概論、必要性について解説します。
個人年金保険の加入率は30代40代から増え始めるって知ってた?
生命保険文化センターから発表された個人年金保険の世帯加入率のデータがあるので、実際に細かく見ていきましょう。
- 29歳以下8.8%
- 30歳~39歳15.2%
- 40歳~49歳23.1%
- 50歳~59歳50.5%
となっています。
ご覧の通り、30代から増え始めていることがわかります。
40代の独身女性の方にも個人年金保険は人気な理由とは
公的年金は、年々減少傾向にあります。
だからこそ、貯蓄性のある個人年金保険が人気が出てきています。
また、最近では未婚率も上昇しているために、女性にも貯蓄性のある個人年金保険の関心が高まっているようです。
特に、40代を過ぎてくると、未婚率も高くなっていき、40代を過ぎた女性が結婚する確率は23.5%という数字も出ています。
そしてこの頃から保険に対する関心も現れてきて、ニッセイ基礎研究所「平成21年度生命保険マーケット調査」のデータでは独身女性が一番関心がある保険は医療・入院保険、それに続くのが個人年金保険です。
年代別の個人年金保険の加入率を見ていきますと、
- 20代:4.2%
- 30代:20.7%
- 40代:22.7%
以上のように、既に30代から関心が高まっていることがわかります。
長く支払うほど払戻率が高くなる個人年金保険ですし、結婚しても老後にお金があった方が良いので、早めに検討するほど良いと思います。
40代は年収が増え、所得控除の恩恵が大きくなるので個人年金保険の加入はおすすめ
個人年金保険料は生命保険料控除の対象になる
生命保険控除とは所得控除の一つとなります。
所得控除を計算する時に、生命保険や社会保険を支払ったお金を所得から差し引くことが出来る事が所得控除になります。
詳しく控除される金額を見ていくと
- 年間払込保険料が20,000円以下の場合、控除金額は払込保険料全額
- 年間払込保険料が20,000円超40,000円以下の場合、控除金額は払込保険料×1/2+10,000円
- 年間払込保険料が40,000円超80,000以下の場合、控除金額は払込保険料×1/4+20,000円
- 年間払込保険料が80,000円以下の場合、控除金額は払込保険料は一律40,000円
となります。
仮に月々の保険料が5,000円だとすれば5,000×12ヶ月=60,000円となります。
計算式にあてはめると60,000×1/4+20,000=35,000円となります。
所得税が35,000円控除されるということは、逆に考えると35,000円の利子が付いたことと同じ考えになります。
金融機関に貯金してもこれだけの利子は考えられません。
注意!一時払いタイプは個人年金保険料控除のメリットを生かせない
一時払いの場合、所得控除が受けられるのは支払った年のみとなります。
40代を大きく過ぎ、個人年金保険に加入するが支払い年数が短いため、一時払いをしたとしても控除が受けられるのは支払った年のみ。
月払いにできれば毎年、控除が受けられます。
一時払いと月払いには大きな違いがあることがわかります。
だからこそ40代までに個人年金保険に加入することをお勧めするのです。
専業主婦の方は夫の生命保険料控除額を把握しておかないと損をする
専業主婦は所得は0円です。
しかし、一定の条件をクリアすれば夫の所得控除に該当する場合もあります。その条件とは
- 戸籍上、配偶者であること
- 生計を共にしていること
- 収入が103万円以下であること
以上が条件となります。
しかし、保険に加入していればいくらであっても控除される訳ではありません。
控除されるには限度額があり、その限度額は120,000円になります。
夫の生命保険・個人年金保険の保険料で限度額に達していた場合、妻の保険料は控除されないことを理解しておきましょう。
【おさらい】そもそも個人年金保険とはどんな保険?
個人年金保険とは、保険料を積み立てることで所定の年齢から年金を受け取ることができる貯蓄型の保険です。
本来、日本は国民皆年金なので、退職後は公的年金が受け取れます。
しかし、最近になって、少子高齢化や国の財源不足の影響から、国民年金の支給開始年齢は60歳から65歳に繰り上げられました。
厚生年金についても、段階的に65歳まで引き上げられることが決まっています。
また、日本人の平均寿命は、男性80.75歳、女性86.99歳と過去最高を更新し、これからは誰もが長生きする可能性があります。
多くの人が長生きをすれば、それだけ国の支払う年金額も増えますから、今後、公的年金の支給額が下がること、支給開始年齢が更に引き上げられることは、ほぼ確実ですね。
なので、積み立てたお金を所定の年齢(60歳、65歳など)から年金として受け取ることができる貯蓄型の保険である個人年金保険は人気があるのです。
一般的には、年金として受け取れる金額が支払った保険料総額を上回る仕組みになっており、貯蓄性の高い保険商品と言えます。
個人年金保険にも色々な種類がありますのでご紹介します。
①確定年金(一定年齢以上5年、10年、15年確定給付型)
「確定年金」とは、保険料期間満了後の一定期間中(5年、10年、15年等)に保険金を受け取ることのできる年金のことを言います。
被保険者が年金受け取り期間中に死亡してしまったとしても、被保険者に代わって遺族が継続して年金を受け取ることができる点が特徴です。
②終身年金(死亡するまで受け取れる型)
「終身年金」は基本的に一生涯(終身)にわたる年金受け取りが可能ですが、年金受け取り期間中に被保険者が死亡した場合等を考慮して保証期間が設けられています。
被保険者が死亡した場合でも、保証期間の間であれば継続して遺族に年金が支払われる仕組みになっています。
③保証期間付き終身年金(確定給付+死亡するまで受け取れる型)
個人年金保険の一生涯年金を受け取るタイプでは、次のような特徴があり、一般的には公的年金や企業年金の不足を補う「上乗せ資金」に適しているといわれています。
- 保証期間中は、被保険者の生死に関係なく年金を受け取ることができる
- 保証期間中に被保険者が死亡した場合は、残りの保証期間に対応した年金、または一時金を受け取ることができる
以上の特徴があります。
専業主婦の加入はちょっと待って!2017年に確定拠出年金改正されたってよ
確定拠出年金(DC)が法改正され、2017年1月からは、公務員や主婦、企業年金加入者等が新たに個人型確定拠出年金(個人型DC)に加入できるようになります。
個人型確定拠出年金は、個人で将来の退職金または年金を用意できる制度で、しかも税制面でのメリットがあります。
近年、国民年金や厚生年金などへの不安が高まってきていて、老後の生活資金を自分でも準備しなければならないという考え方が広まっていることもあり、この改正はそういった流れを推し進めることになりそうです。
しかし、多くのメディアで確定拠出年金の税制メリットが紹介される一方で、デメリットになる部分はあまり触れられない傾向にあります。
特に、今回の改正で新しく加入対象となる人たちの中では、専業主婦へのメリットはあまりないのが現状です。
専業主婦の方で、もし2017年1月から確定拠出年金をはじめたいと思っている人がいたら、あわてて加入せずにもう少し様子を見たほうがよいかもしれません。
2017年から新たに個人型確定拠出年金に加入できる人たち
今回の改正により、新たに個人型確定拠出年金に加入できるようになる人は、以下の人たちです。
- 公務員
- 企業年金を導入している企業の会社員
- 専業主婦等(国民年金の第3号被保険者)
個人型確定拠出年金って何?
確定拠出年金は、毎月掛け金を支払っていき、その掛金の運用方法を加入者本人が指示する年金です。
加入者が60歳になると、運用した掛金を一括または年金として受け取ることができ、その金額は各加入者の掛金や運用成果によって変わってきます。
確定拠出年金には、企業が福利厚生制度として導入している企業型と自営業者や企業年金等のない会社員が加入できる個人型があります。
個人型確定拠出年金とは、その個人型のことです。
個人型確定拠出年金のメリット・デメリット
個人型確定拠出年金には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
- 掛金が所得控除される(所得税・住民税が非課税となる)
- 運用益が非課税
- 年金を受け取るときに所得控除がある(公的年金控除、退職所得控除)
- 確定拠出年金の管理手数料が高い(金融機関によるが月額500~600円程度)
- 初心者には運用が難しく、運用の仕方によっては元本割れのリスクもある
- 老後まで引き出せない
基本的には、所得控除や運用益への非課税という税制面のメリットが大きく、手数料や運用指示などの実際の運用面ではデメリットがあるというのが実情です。
ただし、運用がうまくいけば税制メリットがさらに拡大することになります。
専業主婦やパートの主婦の加入はメリットが見当たらない
2017年から新しく個人型確定拠出年金に加入できるようになる人たちのなかで、専業主婦やパートやアルバイトで少額の収入(103万円以下の所得税非課税範囲)を得ている人は、加入メリットがあまりないので注意が必要です。
確定拠出年金の税制メリットのおさらい
前に個人型確定拠出年金のメリットを紹介しましたが、ここでもう少し突っ込んでみてみましょう。
個人型確定拠出年金の税制メリットは、掛金が所得控除され、運用益は非課税、年金受取時は所得控除があるというものでした。
ここで運用益については一旦置いておいて、掛金と将来の年金について注目すると、掛金については所得税が非課税になるかわりに、運用結果として受け取る年金は課税されるということです。
つまり、掛金については本当は非課税になったのではなく、その時点では課税しないが将来別の機会(年金受取時)にあらためて課税するという、税の繰り延べ制度なのです。
ただし、年金として受け取るときにも別途所得控除があるため、通常、現役時代に所得税として払うよりは税金は少なくなるので、その点はメリットといえます。
では、そもそも収入のない専業主婦はどうなの?
ここで、問題となる専業主婦の場合を考えてみましょう。
専業主婦だと働いてないので所得はありません。
だから掛金を支払って所得控除を受けようと思っても、所得控除を受けることはできません。
ところが、将来、年金を受け取るときはその年金は雑所得として扱われ所得税が課税されることになります。
そのときには公的年金控除や一括で受け取る場合は退職金控除を受けられるので、年金額によっては非課税ですむ場合もありますが、もし非課税枠におさまらない状況になったとしたら税金を支払うことになります。
生命保険に悩む主婦
そもそも所得がなく課税対象にならないお金なのに、確定拠出年金として運用したら将来所得として課税されるかもしれないのです。
もう少しわかりやすく説明すると、専業主婦が自分名義で積立預金をしたら、解約するときにその預金の元本を所得として扱われて課税されるということと同様のことが起きるのです。
専業主婦なので、夫が既に所得税を払った後のお金を掛金にしているのに、その掛金に将来さらに所得税がかかったら二重課税のようなものです。
おそらく、元々は専業主婦が加入することを想定せずに作った“税金を繰り延べする制度”なので、急に専業主婦も加入できるとなって、そのままの制度を当てはめることで、このようなおかしな現象が起きてしまうのだと思います。
今年5月に確定拠出年金の改正法が成立して以降、まだ表立って、このおかしな状況についての報道や発表はされていないようです。いずれは、この問題について議論され、税制などが改正されるのかもしれませんが、現段階ではどうなるかはっきりしていません。
したがって、この問題点の方向性がわかるまでは、専業主婦の方は個人型確定拠出年金への加入に慎重になった方がよいでしょう。
パートやアルバイトなどの収入が103万円以下で、所得税が非課税となる主婦の場合も専業主婦と同じで、所得控除を受けられないので注意が必要です。
専業主婦には確定拠出年金はデメリットでしかない
専業主婦や所得が103万円以下の主婦の場合は、確定拠出年金の最大のメリットである所得控除が受けられません。
そのため、デメリットである確定拠出年金の管理手数料の高さが大きくのしかかってくることになります。
専業主婦の掛金は年間27.6万円(月額2.3万円)までとなる予定です。
手数料が安い金融機関でも手数料は月額500円はかかります。
仮に月に1万円の掛金を支払った場合は、掛金の5%が手数料として消えていくことになります。
2万円の掛金でも2.5%が消えていきます。
マイナス金利の時代にこの手数料の高さの影響は大きく、この分を取り戻せるだけの運用成績を残すのは、素人には簡単なことではないと思われます。
そう考えると、専業主婦の場合は個人型確定拠出年金に加入しても、メリットはあまりないといわざるを得ません。
まとめ:主婦の確定拠出年金加入は慎重に!
個人型確定拠出年金は、あまり認知されていませんが手数料の高さがかなりネックになる制度です。
会社員や公務員、自営業者などで所得がある人であれば、所得控除と運用益の非課税メリットがあるため、長期的に運用する際に手数料というコストを吸収していくことも可能ですが、専業主婦等は肝心な所得控除が使えないため、このコストを吸収して利益を出していくことは結構ハードルが高いのが現状です。
メディアによっては、専業主婦も退職金を用意ができるなどと言って、確定拠出年金への加入をあおっているところがありますが、安易な加入には気をつけてください。
専業主婦等はすぐに確定拠出年金をはじめるよりも、コスト計算や運用方針、将来の年金受取時の公的年金控除や退職金控除の適用状況をしっかりシミュレーションして、慎重に判断した方がよいでしょう。