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主婦の保険の選び方のポイントは?子供アリかナシかが重要な理由とは
夫婦の保険について考える際、忘れられがちなのが専業主婦である妻の保険です。
そもそも専業主婦に保険は必要なのかという点でも、専門家の間でも意見が分かれるようです。
この記事ではこの点について、専門家(FP)の意見も参考に検討していきましょう。
ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。
これらの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、FP(ファイナンシャル・プランナー)です。
専業主婦の保険の選び方とは?
FPの多くから聞かれたのは、保険よりも貯蓄を重視するべきだという意見です。
また保険に加入する場合には、万一に備える生命保険よりも医療保険の必要性のほうが高いという意見も多く聞かれました。
まずは専業主婦にとっての保険の必要性について考え、なぜ専業主婦にとって保険よりも貯蓄が大切なのかについて、より詳しくみていくことにしましょう。
専業主婦にとっての生命保険の必要性はあるの?
まずは生命保険に加入する目的から考えていきます。
働いて得た「収入」で家計を支えていた一家の大黒柱の夫が亡くなった場合、妻が専業主婦であれば、その家庭にとっての収入は遺族年金だけとなってしまいます。
このとき遺族年金だけでは不足してしまう「収入」を補填することが生命保険の役割なのです。
つまり「収入」のない専業主婦が、「収入」の補填を目的とする生命保険に加入する必要性は低いということになるのです。
一方で、専業主婦にも生命保険は必要だとする考え方もあります。
例えば、妻の担っていた家事や子育てといった家庭における役割を金銭的に換算し、家事サポートなどを負担なく利用できる程度の保障は必要だという考え方です。
確かに家事に不慣れな夫が、いきなり1人ですべての家事をこなすとなれば負担が大きいかもしれません。
しかし死別に限らず、男手一つで子供を育てているシングルファーザーは多くいますし、子どもがいなければ自分のことぐらいはなんとかなるようにも思えます。
保険料を払うのは夫であり、妻が亡くなったときに保険金を受け取るのも夫です。
保険料を払ってでも保険で備えたほうが安心だというのであれば、それも選択肢でしょう。
とはいえ、やはり必要性は低いといえるでしょう(特に子どものいない場合)
そのほか、葬儀費用は収入の有無に関わらず必要となる費用であることから、もしものとき備えて葬儀費用程度の生命保険に加入しておくという考え方もあります。
専業主婦にとっての医療保険・がん保険の必要性はあるの?
続いて医療保険やがん保険についても、加入する目的から考えてみます。
そのほかにも働けない間の「収入減少」や付き添う家族の交通費や治療に伴う雑費などに備えることなども目的といえるでしょう。
「収入減少」以外の部分は、専業主婦であっても夫と同じように備える必要がありそうです。
20代・30代ではこれからの妊娠・出産に備えるため、すでに子どもがいれば家事ができなくなることで生じる負担に備えるために、医療保険への加入を検討する余地があるといった意見がFPにもみられました。
専業主婦にとっては、生命保険よりも医療保険(がん保険)の必要性のほうが高いといえるでしょう。
貯蓄が300万円以下なら医療保険とがん保険も検討が必要!
一般的にはがんの治療費には平均100万円程度であり、早期発見で健康保険が適用されるだけの標準治療であれば、自己負担は50万円以下であることも少なくないようです。
もちろん、がんほどの大きな病気でなくても大きな治療費がかかる病気はありますが、一つの目安くらいにはなるでしょう。
少なくとも健康保険が有効である間は300万円くらいの貯金があるのであれば、無理に医療保険に頼る必要はないと言えるのではないでしょうか。
逆に貯蓄が300万円以下ならば医療保険とがん保険も検討する必要があると言えます。
妻名義の保険も夫の生命保険料控除の対象になる
すでにご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、専業主婦の妻が保険に加入する場合、妻名義の保険の保険料も夫の生命保険料控除の対象となるということは知っておいて損はないでしょう。
その年に支払った生命保険料は、年末調整や確定申告することで生命保険料控除の対象となり、所得税・住民税が安くなります。
「専業主婦で収入がないから控除対象となる所得もないだろう。」
そう思って妻名義の保険は生命保険料控除の申請をしていなかった方は、今年からでも申請すれば税金が安くなるはずです。
専業主婦は保険よりもまずは貯蓄の方が大事!
ここまで専業主婦にとっての保険の必要性についてみてきましたが、FPに共通していたのは「専業主婦には保険よりもまずは貯蓄が大切」という意見です。
保険は起きる可能性は低いものの、起こってしまうと経済的な負担が大きなリスクに備えるためのものです。
専業主婦である妻が亡くなった場合の経済的な負担は、一家の大黒柱である夫が亡くなった場合に比べれば小さくなるでしょう。
また医療保険で備えるリスクは、生命保険で備えるリスクに比べれば小さいといえます。
つまり専業主婦が保険によって備えるべきリスクはそれほど大きくないということがいえます。
また、経済的なリスクに備える方法は保険に限らず、貯蓄によっても備えることはできます。
保険はなにもなければ基本的にそれまでですが、貯蓄であればなにもなければ自由に使えるお金が残ります。
いわば貯蓄は最強の「保険」なのです。
専業主婦も加入できるようになった個人型確定拠出年金で、貯蓄と節税がおススメ!
専業主婦が貯蓄をする上で、おすすめの方法がiDeCo(個人型確定拠出年金)です。
2017年の制度改正によって、専業主婦でもiDeCoに加入することができるようになっています。
このiDeCoは、定期的に拠出する掛金で定期預金や投資信託などを購入していき、60歳以降にそれまでの積立金と運用益を受け取る仕組みです。
iDeCoにより貯蓄を行うメリットは、掛金が全額所得控除対象であり、運用益も非課税となるなど節税効果が高いという点です。
ただし専業主婦の場合には所得控除対象となる所得がないため、掛金に対する節税メリットはありません。
とはいえ運用益が非課税となるだけでも、節税効果は高く利用価値は十分あります。
ただiDeCoでの貯蓄は基本的に老後資金に備えるものであり、原則60歳以降にしか受け取れません。
20代・30代では、これから教育資金や住宅資金なども必要となってくるため、それらのバランスを考えて利用しなければなりません。
夫婦でiDeCoを利用するのであれば、まずは所得があり節税効果をフルに受けられる夫の利用を優先しましょう。
iDeCoの掛金には上限があるので、夫の枠を使い切った上で余力があれば、妻のiDeCoも活用していくというのがよいでしょう。
専業主婦か共働きかで変わる?子供あり夫婦の生命保険の選び方
ここでは子供のいる夫婦がどのような保険を選べば良いかについて説明します。
お子さんが生まれたばかりのご家庭はぜひ参考にしてみてください。
子供が出来たタイミングで保険を考えなければいけない理由
なぜ子供ができたタイミングで保険を考えるのでしょうか?
それは自分に万が一のことがあっても子供に不自由ない生活してもらうためです。
夫婦で生活をしているとき、そんなに大きな死亡保障は必要ありませんでした。
いざ自分が亡くなったとしても、結婚相手はすでに大人でお金を稼ぐことができるからです。
しかし子供はそういうわけにはいきません。
親に万が一のことがあったとき、子供が自分たちだけで生活していくことは不可能です。
そういった状況になるのを防ぐために前もって保険を考えておきましょう。
子供あり夫婦の生命保険の選び方・見直し方まとめ
まずは生命保険です。
これは「共働き」「専業主婦」によって保険金額が変わります。
1.子供ありで共働き夫婦の場合
共働きの場合、まずはお互いが亡くなった場合を想定してみましょう。
お母さんのみ、もしくはお父さんのみの給料でやりくりできるかを考えるのです。
もしそれで生活するのが難しそうであれば死亡保障を検討します。
残された家族が必要とするお金(生活費・教育費など)をおおざっぱに計算してそれをお互いが生命保険で備えるようにするのです。
生命保険の保険金額は子供の年齢や数によって大きく変わってきます。
しかし少なくとも1500万円ぐらいは準備しておきたいですね。
すでに生命保険に入っている場合は上記を参考に死亡保障の金額を見直しましょう。
また今後も家族が増えたら、その時々で死亡保障の金額を考え直します。
2.子供ありで専業主婦夫婦の場合
結婚相手が専業主婦の場合は大きな保障が必要です。
一家の大黒柱が亡くなるとその家族の収入がまったくなくなります。
すると残されたパートナーに大きな経済的負担がかかってくるのです。
自分の葬式代・家族の生活費・子供の教育費などを全部含めると・・・
働いている方の生命保険は少なくとも2000万円ぐらいは必要でしょう。
すでに生命保険に入っている場合は死亡保障の増額を検討してください。
また今後も家族が増えたら、その時々で死亡保障の金額を考え直しましょう。
逆に専業主婦の方の生命保険はそんなに必要ありません。
自分の葬式・お墓代(両方合わせて100~200万円ほど)だけ考えれば良いでしょう。
子供ありの場合、死亡保険金の目安は1,000万円以上
育児費用は1,000万円かかる
子供が小さいうちに妻に万一のことがあった場合、葬儀代以外に「育児負担の費用」がかかります。
小さな子供がいる場合、育児負担の費用をカバーするためには、たとえ収入のない専業主婦だったとしても、1,000万円程度の死亡保障は必要です。
共働きで妻が家計を支えていた場合には、さらにその分を上乗せした保障が必要になります。
教育費用は1,000万円以上見ておきましょう
学費は幼稚園から高校まですべて公立に通ったとしても、550万円ほどかかります。中学校から私立なら1,000万円がかかります。
さらに、大学まで進学することになれば、さらに大きな備えが必要になります。
大学は4年間で、国公立が約260万円、私立が約540万円の学費がかかります。
このようなことから、子供の教育費用は一人あたり1,000万円は準備しておいたほうが安心と言えそうです。
※文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」より
子供1人にかかるお金の内訳
1人の子供を出産から大学卒業まで育てるのに最低でも1500万円はかかります。
ただし大切なことは子供の年齢が上がるたびにこの金額は少なくなっていくということ。
0歳のときは「22年間の生活費」+「幼稚園~大学までの教育費」が必要ですが
18歳になると「4年間の生活費」+「大学の教育費」だけで良くなります。
(子供を大学まで行かせると仮定した場合)
なので加入する保険は年々死亡保障の金額が小さくなっていくものが良いでしょう。
収入保障を特約で付けることも検討が必要
また収入保障を特約で付けておくのも大事なことです。
収入が途絶えるのはなにも死亡したときだけではありません。
重病や大けがで障害を負って働けなくなる可能性だってあるのです。
そうなった場合、ただ単に亡くなるよりも厄介なことになります。
収入が途絶える上に働けなくなった方の介護なども必要になってくるからです。
そうなると非常に大きな負担がパートナーにのしかかることになるでしょう。
せめて金銭的な負担だけでも軽くなるよう、保険は準備しておくべきです。
子供あり夫婦の医療保険の選び方・見直し方まとめ
次に医療保険です。
子供ができたら医療保険もしっかり検討すべきでしょう。
夫婦のどちらかが病気やケガなどで長期入院すると家計の収入は大きくダウンします。
入院した方はもちろん働けなくなるのでお給料がなくなるし・・・
入院していない方も相手の看病や子供の世話で満足に働けなくなるのです。
外食やクリーニングなどが普段より多くなって出ていくお金も大きくなります。
医療保険で備える金額は、医療費だけをカバーするのであれば日額5,000円で十分でしょう。
入院先のベッド代や着替え代などもろもろの費用も考えるなら日額10,000円が良いです。
すでに医療保険に入っているなら特に見直しする必要はありません。
しかしずっと昔に加入した医療保険をそのまま持っている場合は注意が必要です。
昔の医療保険の中には入院5日目とか20日目から保障しますというものがあります。
しかし医療の進化によって入院日数はどんどん短くなっているのです。
特に昔の医療保険のままの場合、
「手術・入院したけど5日未満に退院したから保険が出なかった」なんてことになりかねません。
また新しい手術がどんどん増えていく中、給付対象が古い手術のみとなっていることもあります。
ちゃんと現在の医療状況に合ったものに見直すことを場合によってはおすすめしますね。
他の保険は必要に応じて検討しましょう!
基本的には上記の「生命保険」と「医療保険」だけで十分です。
もし「ガン」が気になる方はガン保険を個別で準備したり生活に余裕のある方は将来への貯蓄として年金保険に入っても良いでしょう。
しかしあまり保険に入りすぎるのも考えものです。
万が一の備えにお金を使いすぎて、普段の生活に支障が出てくるようでは元も子もありません。
保険料にたくさんお金を費やすぐらいなら、家族でいっぱいお金を使って遊びましょう。
その方が健康に良く、また家族仲も良くなり、人生におけるリスクは少なくなるはずです。
子供なし夫婦の平均保険料は?子供無し夫婦の生命保険の選び方
夫婦二人で子供がいない方々の保険料がどれくらいか、その平均額を見ていきます。
またどのような保険を選べば良いかについても、あわせて見ていきましょう。
子供なし夫婦の平均保険料はいくらなのか?
生命保険文化センターが発表している、生活保障に関する調査(平成28年度)によると、既婚で子供なしの方の平均保険料は、年間18.5万円(月額1万5千円ほど)です。
なおこれは死亡保険・医療保険・個人年金保険など、すべての生命保険を含めた金額になります。
年間12万円(月1万円)未満が35%と最も多く、それほど多くの保険料を払っていない印象です。
ただし、この数字は「平均」です。
保険金額というのは、その人の年齢・仕事・年収などによっても大きく変わります。
なのであくまでも、参考程度にとどめておいてください。
子供無し夫婦の生命保険の選び方・見直し方まとめ
子供なし夫婦二人の生命保険について、一緒に考えていきましょう。
これは「共働き」「専業主婦」によって、かける保険の金額が変わります。
1.子供なし共働き夫婦の場合
夫婦お互いが仕事をしているのなら、大きな保障は必要ありません。
万が一自分が亡くなっても、相手はお金の面ではそんなに困らないからです。
住宅ローンがあっても、団体信用生命保険によって借金はなくなりますし・・・
状況によっては、遺族年金から毎月の生活費もいくらか出ます。
基本的には、自分の葬式代とお墓代だけ考えれば良いでしょう。
保険金額は、100万円ぐらいです。
もしパートナーや両親にお金を残したいと考えるなら、その分だけプラスしてください。
独身のときすでに生命保険に入っているなら、特に見直しする必要はありません。
ただし上記の金額を大きく超える、大きな保険に入っている場合は保険料を節約するという意味で、小さな保険に入り直した方が良いかもしれませんね。
2.子供なし専業主婦夫婦の場合
結婚相手が専業主婦の場合は、いくらかまとまった保障を考えましょう。
自分の葬式関連費用に加えて、パートナーの当分の生活費も必要だからです。
保険金額は、1000万~1500万円ぐらいです!
相手がいざというときに再就職可能かで、この保障金額の大小は変わってきます。
まだ結婚相手が若い、もしくは就職しやすいスキルを持っている場合などは・・・
比較的すぐに再就職ができるので、保険金額は少なめにしても良いかもしれません。
独身のときすでに生命保険に入っているなら、見直しの必要性が出てくるでしょう。
独身のときに入った生命保険は、死亡保障が少なめという方が多いはずだからです。
パートナーにいくら残したいかを考え、必要に応じて死亡保障を増額してください。
逆に専業主婦の方の生命保険は、葬式代とお墓代だけと最低限で良いです。
保険金額は100万円ぐらいです。
子供がいなければ死亡保険は400~500万程度で大丈夫
妻が亡くなってしまった場合、子供がいてもいなくても、葬儀やお墓の費用が必要です。
通夜・葬儀一式・寺院の費用などで全国平均は約196万円です。
お墓については都道府県で異なりますが、東京の平均費用は約290万円といわれています。
これを考えると、合計約490万円を準備できるだけの保険に加入しておけば十分ということになります(生命保険文化センターHPより)。
ただし、子供がいない場合でも、共働きで妻が家計を支えていて、万一の場合に生活に支障が出るケースもあります。
その場合は、妻の収入分をカバーできる収入保障保険を検討するとよいでしょう。
収入保障を特約で付けることも検討が必要
子供あり夫婦の生命保険の選び方にも書きましたが、子供あり、なしに関わらず、収入保障を特約で付けておくのも大事なことです。
せめて金銭的な負担だけでも軽くなるよう、収入保障は準備しておきましょう。
子供なし夫婦の医療保険の選び方・見直し方まとめ
次に子なし夫婦二人の医療保険について、一緒に考えていきましょう。
夫婦二人で子供がいない(しかもまだ若い)のなら、生命保険よりも医療保険を重視すべきです!!
なぜなら夫婦のどちらかが病気やケガなどで長期入院すると、家計の収入は大きくダウンするから。
入院した方はもちろん働けなくなるので、お給料がなくなるし、入院していない方も、相手の世話などで満足に働けなくなるのです。
外食やクリーニングなどが普段より多くなって、出ていくお金も大きくなります。
医療保険で備える金額は、医療費だけをカバーするのであれば日額5,000円で十分でしょう。
入院先のベッド代や着替え代など、もろもろの費用も考えるなら日額10,000円が良いです。
払い込んだ保険料のうち、使わなかった分は全額戻ってくる医療保険なんかもあるので・・・
貯金代わりに、1つ加入しておくのをおすすめします。
他の保険は必要に応じて検討しましょう!
基本的には、上記の「生命保険」と「医療保険」だけで十分です。
もし生活に余裕があるなら、将来への貯蓄として年金保険に入っても良いでしょう。
しかし、あまり保険に入りすぎるのも考えものです。
万が一の備えにお金を使いすぎて、普段の生活に支障が出てくるようでは元も子もありません。
保険料にたくさんお金を費やすぐらいなら、夫婦でいっぱいお金を使って遊びましょう。
その方が健康に良く夫婦仲も改善され、人生におけるリスクは少なくなるはずです。